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『白夜の誓い』『PHOENIX宝塚!!』感想 [宙組]

あけましておめでとうございます。
半年ぶりの更新です。その間ブログをチェックすることがなかったため、コメントへの返信がたいへん遅れてしまったこと、本当に申し訳ありません。

私は相変わらず宝塚から遠く離れた土地にて、相変わらず大空祐飛さんと朝夏まなとさんと早霧せいなさんを想っています。
この年始は半年ぶりに宙組観劇がかないました。
三年前に宙組に来たときは苦手だったかなめさんのことを、改めて好きだなと思うことができた公演でした。
一度しか観れなかったので大雑把な感想になりますが、よろしければ読んでください。

一切の予習をせずに観劇しました。
お芝居の感想を一言で言うと「退団公演なのに暗っ!」
ショーの感想を一言で言うと「どこかで見たことある」(大介先生作品あるある)
公演全体の感想を一言で言うと「最後まで「てるきた」なんだな」

だから正直すごくよかったとは言えないのですが、それでも楽しめました。
そのわけは、やっぱり凰稀かなめという人の「ほっとけない感じ」なんじゃないかと思います。
かなめさんには、まわりの人を良くも悪くも心配させる、庇護欲をかき立てる何かがあるんだと思うんです。

『白夜の誓い』
始まりから終わりまであまり起伏がなく平淡。すべてのキャラクターが感情を抑えている。
それが王室・貴族社会だと言われればそれまでなのですが、「ひたむきに生きた一人の男の愛と友情、そして信念」(公式ホームページ公演案内より)のどれもが深く掘り下げられることなく中途半端に処理されていたように思います。
お芝居もショーも、てるきたコンビで割り切ったのだから、どうして『銀英伝』でしたように「友情」にもっと焦点を当てなかったのだろうと残念でなりません。
グスタフという素材は宝塚にとても向いているし、もっと作品としておもしろくしようがあったと思います。
出てくる人物の誰もが紋切り型で、まるで聖人君主のよう。人間味があまり感じられないため、登場人物の心情の変化を機に物語が動く場面すべてが唐突に感じられました。
グスタフが即位に至るまでの心境もよく見えず、ソフィアの恋心の変遷も曖昧。リリホルンを自殺未遂までに追いやったものは何なのか。グスティへのヤコブの反駁も、暗殺をするまでの理由には思えませんでした。
要所要所がすべて物足りないというのは芝居としてどうかと思います。これまでも書いてきたと思いますが、宝塚は複数回観る客に支えられているとはいえ、お芝居に関しては一度観ただけで理解できるように作るのが最低限のマナーだと思います。潤沢な資金もあり、せっかく座付きの脚本家がいるのだから、ファンに甘えない作品を生み出してほしいものです。

とか言いつつ、グスティが亡くなる場面ではしっかり涙した私はただのかなめさんファンです。
かなめさんが客席に背を向けて手すりに腰掛けるシーンでは、「なんと受け受けしい!」と大興奮しました。
もうあの背中にかなめさんの魅力のすべてが詰め込まれていると思いました。
美しくて気高くて儚くて、誰かが支えていないと壊れてしまいそうで。
そして彼を支えてきたのは、結局ヤコブということになるのです。
この関係性は見事にショーで確かめられることになります。

『PHOENIX宝塚!!』
「孤独だっていいじゃない、自分が赤く燃えていれば」
キャッチ―な主題歌は個人的にヒットでした。孤高のトップスター・凰稀かなめのことを歌っているのだと思うのですが、これをかなめさんが歌うと虚勢にしか聞こえないのですよ。
「孤独だっていいじゃない(でもほんとは孤独なんかいやっ!)」ってね。
だって実際孤独じゃないですもの。傍らには常に緒月さんがいたじゃないですか。

個人的には愛の復活のシーンが本当に泣けました。両手はみりおんとまぁくんとつないでいるけれど、一番近くでがっしりと肩を支えているのは緒月さん。これが凰稀体制の宙組なんだなと深く納得しました。
そしてその時のかなめさんの笑顔。これがまた本当にいい笑顔で。
今回お芝居・ショーを通じて、かなめさんがなーんか元気がないなぁという印象を受けてしまっていただけに、この笑顔だけでも見ることができて私は救われました。

緒月遠麻がいなければ、トップスター凰稀かなめはありえなかった、とまで言い切るつもりはありません。
緒月さんが組替えして来なかったとしても、かなめさんはトップの座に就いて、また違ったトップ像を打ち出すことができたと思います。
でも、いま私たちが見ている男役・凰稀かなめのかたちは緒月さんあってのもの。絶対的な存在としての「づっくん」がいるからこそ、「ぐっちゃん」は孤高のトップスターを演じることができているのだと思いました。

知り合いに熱烈な(という言葉では足りない)かなめファンの方が何人かいます。相手役がみりおんになった時、それはそれは否定的な意見を口にしていました。だから逆に質問をしました。「誰だったらいいの?」と。
そしたら、普段はこっちが頼んでも話をやめない彼女たちが、一斉に口をつぐんでしまったのです。
それは単に理想的な娘役が思いつかなかったというだけかもしれません。
でも私にはその沈黙こそがすべてを物語っている気がしてなりませんでした。

かなめさんは、プリンスであると同時にプリンセスだった。一人で二役だったのだと。
そんな彼女を支えることができたのは、圧倒的な包容力のある緒月さんだけだったのだと。

男役たるもの、男役を貫くのが美徳といえるかもしれません。
でもかなめさんの魅力は、あくまでも「男役を演じる女性」であるところにあるのかなと。
それが受け入れられない人には女々しい男役に写るのかもしれませんが、私はそんなかなめさんが大好きだし、彼女の魅力は宝塚という場にあったからこそ花開いたのだと思いました。
「その花は女として生まれ男として生きとして宙に還る」
かなめさんを表すとしたら、こうなるのではないでしょうか。

だから、彼女がオスカルとして黒燕尾を着て踊った『オスカル編』の男役群舞ほど、かなめさんの魅力を引き出していたシーンはないんじゃないかと思います。
もうあれが退団公演の群舞でもよかったんじゃないかと思うくらいです。

孤高のトップスター凰稀かなめさん、彼女を支えた別格・緒月遠麻さん。
いままでたくさんの夢をありがとうございました。千秋楽まで二人で駆け抜けて行ってください。

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青林檎

てんか様
おはようございます。
ブログにメッセージいただき、ありがとうございます♪
昨夜気づきました。すみません。m(__)m
ブログを通してお話が出来ること嬉しく思います。
アクセス数はあっても、なかなか拍手やコメントがないことに
思いが通じてないのかなと思う日々で・・・
そんな中、こうしてコメントいただけて
すごく嬉しかったです。
リンクの件、こちらこそよろしくお願いします。
大劇初日観てきました。
ちぎちゃんが生み出した
快活で軽妙なルパンは舞台で息づいてましたよ。
彼女の芝居の役の振り幅をまたまた垣間見た初日でした。
私のblogにもリンクさせていただけますか?
今後共、よろしくお願いします。
by 青林檎 (2015-01-22 10:32) 

てんか

青林檎さま

コメントいただきありがとうございます!こちらこそ、返信が本当に遅れて申し訳ありませんでした。これからよろしくお願いいたします!
このブログはだらだらと7年やっていて自己満足で書いていますが、やはり反応があるとうれしいものですよね。たとえ反応がなかったとしても、ちぎちゃんやジェンヌさんへの想いを熱く語っていれば、誰かしらの心に響いている・・と信じています。
リンク貼らせていただきました。もちろん、相互でリンクを貼っていただければうれしいです♪
ちぎちゃん率いる雪組をいっしょに応援しましょう!
by てんか (2015-01-23 18:33) 

青林檎

てんか様
おはようございます。
おっしゃるとおりだと思います♪
初リンク♪貼らせていただきまぁす♬
関東組には、もう少し先になりますので、
友人の観劇報告やスカステが頼りの日々ですが
てんか様は、海の向こうから思いを馳せていらっしゃるんですよね。
私にできることがあれば、なんでもおっしゃってくださいね。
ではでは。
またお話できたら嬉しいです。
by 青林檎 (2015-01-25 10:19) 

てんか

青林檎さま

リンクありがとうございました!
私も日本では関東組だったので、東京に来るまでのじれったさ、よくわかります。
ここ数年は宙組公演だけはムラにもよく行っていましたが、日本を離れてからは兵庫も東京も遠すぎて悟りの境地に入りました(笑)
大劇場初日をご覧になったということですが、東京に来るころにはまたいろいろ変化してるのでしょうね。青林檎さんは足繁く通われるのでしょうか^^ぜひご感想を共有していただけたらうれしいです。更新楽しみにさせていただきます♪
by てんか (2015-01-27 07:43) 

July

てんかさん、お久しぶりです。
まだ異国の地だったのですね。
でもかなめさんの退団公演は観劇されたのですね。
私が観た日は公演後祐飛さんの「ファミリア」を観る予定にしていたので時計とにらめっこで落ち着きませんでした。
大運動会の負けっぷりといい何だか宙組は元気がありません。「クラシコイタリアーノ」のころのあの勢いはどこへ行ってしまったのでしょう。
100周年を機にお蔵入りしてしまえばいい翁作品を連続でやらされて同情します。挽回してほしかったです。
大劇場はエリザベートに合わせて音響機器を新しくしたので良くなりましたよ。帰国したら是非大劇場へも足を運んで下さい。映像は相変わらずですが。映像の粗いスカステでベルサイユのばら連続放送って罰ゲームのようです。見てるほうが恥ずかしいんだよぅ~!新人公演のために付けているのですがぼったくりだわ。

by July (2015-02-03 19:45) 

てんか

Julyさま

大変ご無沙汰しておりました!コメント本当にうれしいです!
はい、まだ当分はこちらにいる予定です。が、帰国した際に宙組を観てきました。クラシコの頃の宙組の勢いは凄まじかったですよね。大ちゃんもお茶会でそんなことを発言していたらしいので、ファンだけの印象じゃないようです。無闇な若返りをはかって上級生が少なくなったことが一番の原因かと思います。その意味でまぁくん体制にも一抹の不安を抱えています(みりおんとの相性はばっちりだと思いますが!)とにかく白夜を観た時はかなめさんが疲れているように見えて心配になりました。
大劇場の音響については知りませんでした。前回の遠征はモンテの頃なので、そろそろムラが恋しくなっています。故郷でもないのに、宝塚とは不思議な土地です。
by てんか (2015-02-06 09:50) 

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