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博多座『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』第二幕覚書 [宝塚]

いよいよこれで博多座覚書は最後になります。
第二幕とフィナーレです。

第二幕
●ファイエール!(とりあえず)

●瀬戸花まりちゃんのフレデリカは年齢が上がって見えました。声のせいでしょうか。落ち着いていてよかったと思いますが、若くてキレる女性副官というイメージではなかったかなぁ。声はとてもきれいなのだけど。比べてみて改めてれいちゃんの可憐さを認識しました。

●アムリッツァのかけるくんビッテンフェルトは猪突猛進すぎる感じが浮いてました。ビッテンとしてはいいのかな。

●二幕通じてラインハルトの喜怒哀楽が激しかったです。ビッテンフェルトに対する怒りと対照的に、「さすがはキルヒアイス」は自分のことのように誇らしく。

●「だからこそ、配下にまで敵をおつくりになりませんよう」の後、ラインハルトに「俺が間違っていた」と言われた時のキルヒアイスの安心した表情が、博多に来てどんどん出ていました。まぁくんキルヒアイスもかなめさんラインハルト同様、感情がよく見えるようになっていました。

●りんきらのアンスバッハは機械的すぎるんですよね。セリフも歌も抑揚がないんです。いくら貴族に仕える軍人でも、アンドロイドじゃないのだから、どこか人間味があってほしいです。

●和希そらくんのリンチは、ぐれていないと言うか、やけになっている感じがなくて、リンチとしてそれはどうなのかと思いました。

●髪を切ったヒルダが元帥府を訪れる場面。ともオベは前髪をかき上げると言う斬新な演出で笑いを誘っていたけれど、カイオベは立ち止まって凝視するという演出でした。そしてラインハルトの「下がってよい」が二回に増え、仕方なく退出という感じです。笑いは微妙に起きた程度だったが、博多版の方が原作オベらしく、@TAKARAZUKA度合いが減少してました。

●「度重なる核戦争で滅んでしまった星、地球」と言いながらラインハルトが手で丸を描く演出は東京から引き続きありました。「地球」って言葉は子音だけで言えてしまうから発音が難しく、その分聞き取りづらい時もあって、だからこそ手をつけてわかりやすくしたのかなともふと思ったりもしました。

●この場面のヒルダのセリフが圧倒的によくなっていました。言っていることがヒルダのものになっている以上に、みりおんのものになっているというか。使い古された言い方ですが、心がこもっていました。

●捕虜交換。花乃ユリアンもフレデリカも落ち着きすぎて、キルヒアイスのことをイケてるだとか、ラインハルトはもっと美形だとか言うようなきゃぴきゃぴした子に見えなくて違和感がありまくりでした。ここのユリアンの「もっと美形ですよ」というセリフは変更があって安心しました。いままでの「美形らしいですよ」だと、一幕でヤンに「超イケメンですね」と言ったことと矛盾しておかしいと思っていたので。

●ヤン、そしてユリアンと会話するキルヒアイスの人間味が増していました。語りかける口調というか。ユリアンの「ありがとうございます」も、かのちゃんが他の場面では落ち着いている分、ここでの気持ちの高揚だとかが上ずったセリフまわしに表現されていて感動しました。「いつかまた会える日」はテンポが早め。立ち位置の変更はキルヒアイス篇参照。

●博多に限らずですが、ヴェスターラントに臨時政府を作るというアンスバッハの提案に対し、ブラウンシュヴァイクが「眺めもよいぞ」と言いますが、銀英伝の世界観に照らし合わせると、眺めのよい星=空の眺めがよいということなのでしょうか?地球から月が見えるように、きれいな衛星とか惑星がよく見えるということ?結局よくわからなかったセリフの一つです。

●オーディンの夜。ビッテンの「(恋人は)これから探す♪」のテンションが謎。最後にどうして♪をつけるのでしょうか。謎。

●ロイエンタールの名台詞「おい、愛妻家」がさらっとしていました。ちーロイが「噂だ・・と言いたいところだが事実だ」と言っていたのに対し、あきロイは「噂だと言いたいところだが・・事実だ」と言う風に間の取り方を変えていました。「今夜だけは」もテンポ早めだったでしょうか。二幕では唯一と言っていいくらい心穏やかな場面なので、もう少しゆっくりでもいい気がしました。

●カイオベはチェスを絶対にしなさそう。ともオベはしてそう。

●ヴェスターラントの民衆の反乱は怖いシーンでした。博多の方が襲われるエリザベートたちが悲鳴を上げていて怖かったです。ここではずっとバイト中のあおいさんを観ていたのですが、一般女性が人を殺すまで蹴り続けるなんて、極限状態になると人はどうなるかわからない、ほんとに恐ろしいと思いました・・。

●天使と悪魔。かなめさんの歌が東京よりよくなっていました。説明しにくいのですが、確かDVDでは最後かなめさんの声が切れた後すぐにコーダ?に入るのに、東京・博多では二小節分長かった気がします。もしそうだったとしたら、曲が長くなった分、振りがどうなっていたか確認できず残念。

●救国軍事同盟の末路。博多に限らず、「グリーンヒル大将が自決されたそうです」の意味は舞台だけじゃなかなかわかりづらいと思いました。もちろん、その直前に私たちはグリーンヒル大将が殺されているところを見ているわけで、一回観ただけでは「自決してないじゃん?」と疑問に思っているうちにヤンのサングラスに気を奪われてしまうので(笑)消化不良で終わってしまいます。原作には自決と発表する理由がちゃんと説明されているのだけれど、舞台では行間を読む時間がとれないと思います。同様の理由で、最後の方でキルヒアイス暗殺を指示したのはリヒテンラーデだとオーベルシュタインが発表する理由も、一回観ただけではわかりにくいのではないでしょうか。

●ラインハルトとキルヒアイスの決別。ずっと別行動をしていたキルヒアイスが、一刻も早くヴェスターラントの真相を確かめたい、という感じがもっと出てもよかったかもしれません。というのも博多のキルヒアイスはムラ・東京よりも感情がにじみ出ていたので、ここでも焦りみたいなものが表現されていた方が、それまでのお芝居と整合性があってよいのではないかなぁと。素人ながら思いました。

●口論が激しさを増し、どんどん熱くなる二人。必要以上に責める口調になっていきます。博多に来て二人ともより喜怒哀楽が見えるようになっていたので、この場面が格段によくなっていました。というのも、口では「おまえは俺の何だ」「閣下の忠実な部下です」というように主従関係を謳っているのに、結局、この時の二人は幼馴染に戻って喧嘩してるんだと思うんですよ。一方がムキになればもう一方も虚勢を張るしかなくて、お互いどんどん声を荒げていくという感じで。そんな二人の関係性が博多で最大限に表現されていて、結末を思うと胸がしめつけられる場面でしたが、それも二人のお芝居がよくなっていたからだと思いました。

●キルヒアイスはその後も感情を結構あらわにしていて、武器携行禁止を知った時に「自分は特別扱いではなくなったのだ」と気付いた落ち込みぶりが博多ではよく見えてました。

●ブラウンシュヴァイクの亡骸から銃を取り出すアンスバッハに誰よりも早く気付いたキルヒアイスは、博多に来て「ラインハルトさま!」と言いながら階段を駆け上るという演出になっていました。そこには、銃を見た瞬間に自らを盾にしようというキルヒアイスの強固な意志が見てとれて、非常に劇的になっていました。ラインハルトも「キルヒアイス!」と何回も叫んでいて、緊迫感がすごくてとても長い一瞬でした。

●亡くなるシーンについてはキルヒアイス篇参照。別の記事にも書きましたが、やっぱり最後の言葉が宇宙を手にお入れくださいにした変更は原作との大きな違いだと思います。

●(番外編。暗転してから、まぁくんはすぐに立ってはけることができるのかなぁといつも思っていました。ゆうひさんは『誰がため~』の最後では一度身体が死んでしまっていて、お芝居が終わってからもすぐには立てないって言ってましたよね)

●嘆き悲しむラインハルトの部屋にやってくるヒルダは、それまでの猪突猛進型から添い遂げる系の女性に変化していたように思います。世界で最も大事だった二人の存在を失い弱ったラインハルトをしっかり支えてくれるように思えて、東京初見で感じた絶望感を払拭してくれました。希望のあるエンディングになっていました。でも、だからこそ流れ星を指さすタイミングは合わせてほしかったなぁ(笑)

フィナーレ
●ひとつの名物と化した男役+フレデリカ・グリーンヒルのロケット(笑)りんきらはこの場面が一番よかったなぁ。皮肉とかではなく、きれいだったと思います。人数が少なくても、みなさんの圧巻のスタイルでカバー。

●かなめさんのポニテ!前の髪型も捨てきれないけれどこちらもよかった。フィナーレCがフィナーレの中でも一番好きだったので、場面が長くなったのはうれしかったです。この場面と、続く男役群舞に関してはキルヒアイス篇参照。

●デュエットダンスはオールバックより前の髪型の方が正直好きでした。オールバックはデュエダンにはちょっと鋭すぎる印象なんですよね。でも、かなめさんのトップとしての成長がそれをカバーするくらいの包容力を生み出していて、鋭さは相殺されていました。

●パレードの大階段はセットの階段を使っていて迫力があってよかったです。かなめさんはポニテのまま、ゴムだけ変えていたのかな。

●宝塚の公演のテーマソングってパレードの最後、全員が銀橋に出てくるところから使われる歌だと思うんですけど、その意味では今回のテーマは「いつかまた会える日」そして「フレイヤの星」ですよね。そしてこの両方を歌っているのは、実はかなめさんとまぁくんだけなのです。(ラインハルトは捕虜交換では歌っていないけれど、最後にヒルダと歌う「運命」はメロディーが同じ)そういう意味でも新生宙組におけるまぁくんのポジションがうかがい知れる・・気がします。

《総評》
何回も書いたと思いますが、博多座の『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』は@HAKATAとも言うべき変貌を遂げていて、とくに大劇場から東宝を経て同じ役を続けてこられた方々の芝居がぐっと深みを増し、キャラクターの感情がより役者自身のものになっていて、すべてが自然になっていました。箱が小さくなり、キャストの人数も減り、視覚的な迫力が欠けたのは事実かもしれませんが、それでも博多座のアットホームな雰囲気と主要キャストのお芝居の生き生きとした感じが相まって劇場全体が息づいていました。観に行って心からよかったと思えた公演でした。映像化を強く希望します。
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